Vincenzo Postiglione II (ヴィンチェンツォ・ポスティリオーネ) 1910
価格:ASK
Napoli / Italia
1910
鑑定書:Dmitry Gindin
Description
ヴィンチェンツォ・ポスティリオーネは19世紀後半ガリアーノ・ファミリーの後のナポリにおける最高のメーカーの一人と言われています。楽器職人だった父(ヴィンチェンツォ・ポスティリオーネ(I))よりヴァイオリン製作の基礎を学び始め、16歳頃からヴィンチェンツォ・イオリオに師事し腕を磨きました。1849年にイオリオが亡くなった後も精力的に製作を続け、1855年にはナポリに自身の工房を構え、ガリアーノやグァダニーニ、ストラディヴァリウスのモデルを取り入れつつも、洗練された独自のポスティリオーネスタイルを確立しました。
ポスティリオーネは、脈々と続くイタリアの伝統的なヴァイオリン製作に関する素晴らしい知識と技術を持っていたと言われており、たちまちナポリにおける最も影響力のある弦楽器製作者になりました。
明瞭で奥深い音色とパワーの両立を叶えたナポリ派の楽器らしい豊かな響きの彼のヴァイオリンは、19世紀後半のイタリア製作家の中でも高く評価されており、現在も演奏家やコレクターに人気があります。市場価格は高価ですが、音の良さからプロの演奏家にも愛用されています。1910年頃の最晩年における円熟したこの作品は、ニスの美しさもさることながら、高音の華やかな伸び音と低弦からの奥深いまるでオールドヴァイオリンのような音色を備えつつ、ハリと弾力のある瑞々しい音を織りなします。また、使用する弓により音色のバリエーションが豊富で、大変ポテンシャルが高く、ソリスト向きの傑作と言えるでしょう。
「Vincentius Postiglione me fecit Neap. 1910、N.379」のラベルが貼られており、ラベルには手書きで「Forma G. Battista Guadagnini Torino」とあります。また、ボタン、テールピンの横、上部と下部のブロックににそれぞれ「VP」のイニシャルが刻まれています。
胴長:360mm